痛風が疑われる場合、医療機関ではどのような流れで診断が行われ、どのような検査が必要になるのでしょうか。そのプロセスを理解しておくと、安心して受診できるでしょう。まず、医療機関(主に内科やリウマチ科など)を受診すると、医師による詳しい問診が行われます。いつから、どの関節(特に足の親指の付け根が多いですが、足首や膝、手の関節なども)が、どのように痛むのか(突然の激痛、ズキズキする痛みなど)、痛みの強さ、腫れや赤み、熱感の有無、過去に同様の発作があったか、飲酒歴や食生活、既往歴(高血圧、脂質異常症、糖尿病、腎臓病など)、家族歴などを詳しく聞かれます。この問診は、痛風の診断において非常に重要な情報となります。次に、身体診察です。医師は、痛む関節の状態(腫れ、赤み、熱感、圧痛の有無など)を視診や触診で確認します。痛風結節(尿酸の結晶が皮下などにできるしこり)がないかも調べます。これらの問診と診察から、痛風の可能性が高いと判断された場合、いくつかの検査が行われます。最も重要な検査が、血液検査です。血液検査では、尿酸値(血清尿酸値)を測定します。尿酸値が高い状態(高尿酸血症:一般的に7.0mg/dL以上)が痛風の背景にあるため、この値は診断の重要な指標となります。ただし、痛風発作の最中には、尿酸値が一時的に正常範囲内に下がっていることもあるため、注意が必要です。また、炎症反応(白血球数やCRPなど)や、腎機能(クレアチニン値など)も同時に調べることが多いです。痛風発作が起きている関節に関節液が溜まっている場合は、関節穿刺(かんせつせんし:関節に針を刺して関節液を採取する)を行い、関節液の中に尿酸塩結晶(針状の結晶)が確認できれば、痛風と確定診断できます。これは最も確実な診断方法とされています。レントゲン(X線)検査は、痛風発作の初期には異常が見られないことが多いですが、病気が進行し、慢性化すると、関節の骨びらん(骨の一部が侵食されること)や、痛風結節による骨の変化などが認められることがあります。これらの問診、診察、検査結果を総合的に判断し、医師は痛風の診断を下し、適切な治療方針を決定します。
痛風診断までの流れと検査内容