年に何度も扁桃炎を繰り返し、その度に高熱や強い喉の痛みでつらい思いをしている…。このような状態は「習慣性扁桃炎」と呼ばれ、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。あまりにも頻繁に繰り返す場合、扁桃を摘出する手術(扁桃摘出術)も治療の選択肢の一つとして考えられます。では、どのような場合に手術が検討され、何科に相談すれば良いのでしょうか。扁桃摘出術を検討する目安としては、一般的に、年に四回以上、あるいは二年に五回以上といった頻度で急性扁桃炎を繰り返す場合や、一度の扁桃炎が重症化しやすく、入院が必要になることが多い場合、あるいは扁桃が原因で他の臓器に影響が出る「病巣感染症(IgA腎症や掌蹠膿疱症など)」が疑われる場合などが挙げられます。ただし、手術の適応は、単に回数だけでなく、一回ごとの症状の重さや、日常生活への影響度、患者さんの年齢や全身状態、そして本人の希望などを総合的に判断して決定されます。手術のメリットは、何よりも扁桃炎そのものの再発を防ぐことができる点です。これにより、発熱や喉の痛みによる苦痛や、仕事や学業への影響から解放されることが期待できます。また、病巣感染症のリスクを低減できる可能性もあります。一方、デメリットとしては、全身麻酔下での手術となるため、麻酔に伴うリスクや、術後の出血、痛み、声質の変化(一時的なことが多い)などが挙げられます。入院期間は、通常一週間から十日程度が一般的です。また、扁桃を摘出しても、風邪をひかなくなるわけではありません。咽頭炎など、他の部位の炎症は起こり得ます。扁桃摘出術を検討する場合、相談すべき診療科は耳鼻咽喉科です。耳鼻咽喉科医は、扁桃の状態を詳しく評価し、手術の適応があるかどうか、手術のメリットとデメリット、そして手術以外の治療選択肢(例えば、長期的な抗菌薬の少量投与など)について、専門的な見地から説明してくれます。手術を受けるかどうかは、これらの情報を十分に理解した上で、医師とよく話し合い、ご自身のライフスタイルや価値観も踏まえて慎重に決定することが大切です。
繰り返す扁桃炎手術も選択肢?何科へ?