捻挫の治療期間は、損傷した靭帯の程度(重症度)や、個人の回復力、治療への取り組み方などによって大きく異なります。また、適切なリハビリテーションを行うことが、後遺症を残さず、早期に元の活動レベルに戻るためには非常に重要になります。捻挫の重症度は、一般的にⅠ度(軽度)、Ⅱ度(中等度)、Ⅲ度(重度)の三段階に分類されます。Ⅰ度捻挫は、靭帯がわずかに伸びたり、微細な断裂がある程度で、痛みや腫れも比較的軽度です。この場合、RICE処置と数日から一週間程度の安静で、多くは2~4週間程度でスポーツ復帰が可能となることが多いです。Ⅱ度捻挫は、靭帯の部分断裂を伴い、痛みや腫れ、内出血もⅠ度より強く現れ、関節の不安定性も少し見られます。この場合は、数週間のギプス固定や装具療法が必要となることがあり、スポーツ復帰までには4~8週間程度、あるいはそれ以上かかることもあります。Ⅲ度捻挫は、靭帯の完全断裂を伴い、著しい痛み、腫れ、内出血、そして明らかな関節の不安定性が見られます。この場合は、長期のギプス固定や装具療法、あるいは手術療法が検討されることもあります。治療期間は数ヶ月に及ぶことが多く、スポーツ復帰までには3ヶ月から半年以上かかることも珍しくありません。どの程度の捻挫であっても、治療において重要なのがリハビリテーションです。急性期の炎症が治まった後、早期から段階的に関節可動域訓練(関節を動かす訓練)、筋力増強訓練、そしてバランス訓練や固有受容覚訓練(関節の位置や動きを感じる能力を高める訓練)などを開始します。これらのリハビリテーションを適切に行うことで、関節の機能回復を早め、筋力低下や関節の拘縮(硬くなること)を防ぎ、そして何よりも再発を予防することができます。自己判断でリハビリを中断したり、焦って無理な運動を再開したりすると、治癒が遅れたり、再発しやすくなったりする可能性があります。必ず医師や理学療法士の指示に従い、根気強くリハビリテーションに取り組むことが大切です。