適応障害の症状が悪化し、仕事や日常生活に大きな支障が出ている場合、無理を続けることはさらなる悪化を招きかねません。そのような時には、「休職」という選択肢も視野に入れることが大切です。休職は、決して逃げや怠けではなく、心身を休ませ、回復するための積極的な治療の一環と捉えるべきです。適応障害で休職を考えるべきタイミングとしては、まず、症状によって仕事のパフォーマンスが著しく低下している場合です。集中力が続かない、ミスが増える、判断力が鈍る、仕事の意欲が全く湧かないといった状態が続き、通常の業務遂行が困難になっている場合は、休職を検討するサインかもしれません。また、遅刻や欠勤が増えたり、出勤すること自体が非常につらくなったりしている場合も同様です。精神症状(気分の落ち込み、不安感、イライラなど)や身体症状(不眠、食欲不振、頭痛、腹痛、動悸など)が強く、日常生活にも支障が出ている場合も、休息が必要な状態と言えるでしょう。休職を検討する際には、まず主治医(精神科医や心療内科医)に相談し、医学的な見地から休職の必要性や期間についてアドバイスをもらうことが重要です。医師は、患者さんの状態を評価し、必要であれば診断書を作成してくれます。この診断書を勤務先に提出し、休職の手続きを進めることになります。休職期間中は、まず心身を十分に休ませることを最優先とします。ストレスの原因となっている職場環境から一時的に離れることで、症状の軽減が期待できます。そして、医師の指導のもと、カウンセリングや精神療法を受けたり、生活リズムを整えたり、軽い運動を始めたりと、徐々に回復に向けた取り組みを進めていきます。復職のタイミングについても、自己判断せずに、必ず主治医とよく相談し、職場とも連携を取りながら、無理のない計画を立てることが大切です。休職は、自分自身を見つめ直し、今後の働き方や生き方について考える良い機会となることもあります。勇気を持って、休息という選択をすることも、時には必要なのです。
ストレスが限界に…適応障害と休職の考え方