ロタウイルス感染症は、乳幼児を中心に冬季に流行することが多い、急性の胃腸炎です。その症状は特徴的で、突然始まることが多く、保護者の方を驚かせることがあります。典型的な症状の流れと特徴を理解しておきましょう。まず、最も代表的な症状は、激しい嘔吐と水のような下痢です。感染後、約一日から三日の潜伏期間を経て、突然の嘔吐で発症することが多いと言われています。嘔吐は頻回に起こり、飲んだものや食べたものをすぐに吐いてしまうことも少なくありません。嘔吐に続いて、あるいはほぼ同時に、水様性の下痢が始まります。下痢の回数も多く、一日に何度も、時には十回以上排便することがあります。便の色は、白っぽいクリーム色や米のとぎ汁のような色になるのが特徴的で、「白色便」や「仮性コレラ様便」とも呼ばれます。ただし、必ずしも白色便になるわけではなく、黄色っぽい水様便のこともあります。発熱もよく見られる症状の一つです。三十八度以上の高熱が出ることが多く、嘔吐や下痢と同時に、あるいは少し遅れて現れることがあります。熱は数日間続くことが一般的です。これらの消化器症状や発熱に伴い、腹痛やお腹の張り、不機嫌、ぐったりして元気がない、食欲不振といった症状も見られます。特に乳幼児は、自分の症状をうまく言葉で伝えられないため、普段との様子の違いに周囲の大人が気づいてあげることが大切です。ロタウイルス感染症の症状は、通常、一週間程度で自然に軽快していきますが、嘔吐や下痢が激しい場合は、脱水症状を起こしやすいという大きな特徴があります。脱水症状が進行すると、点滴治療などが必要になることもあるため、早期の適切な対処が非常に重要です。