メニエール病と診断された場合、その治療は、まず発作時のつらい症状を和らげること、そして発作を予防し、病気の進行を抑えることを目的として行われます。治療の基本は、薬物療法と生活習慣の改善指導です。まず、めまい発作が起きている急性期には、症状を軽減するための薬物療法が中心となります。めまいを抑えるための抗めまい薬(例えば、ベタヒスチンメシル酸塩など)や、吐き気や嘔吐を抑えるための制吐薬が用いられます。不安感が強い場合には、抗不安薬や精神安定薬が処方されることもあります。症状が非常に強い場合には、点滴による水分補給や薬剤投与が行われることもあります。発作がおさまった後、あるいは発作がない時期(間歇期)には、発作の予防と内耳の環境改善を目的とした薬物療法が行われます。内耳のリンパ液の圧力を下げる効果が期待される利尿薬(例えば、イソソルビドなど)や、内耳の血流を改善する目的で血流改善薬、ビタミンB12製剤などが用いられます。また、炎症を抑える目的で、短期間ステロイド薬が処方されることもあります。これらの薬物療法と並行して非常に重要なのが、生活習慣の改善指導です。メニエール病の発症や悪化には、ストレスや疲労、睡眠不足、塩分の摂りすぎなどが関与していると考えられています。そのため、十分な睡眠と休息を取り、規則正しい生活を送ることが大切です。ストレスを溜め込まないように、自分なりのリラックス方法を見つけ、上手にストレスをコントロールすることも重要です。食事については、塩分を控えた食事が推奨されます。過剰な塩分摂取は、体内に水分を溜め込みやすくし、内リンパ水腫を悪化させる可能性があるためです。また、カフェインやアルコールの摂取も、症状を誘発する可能性があるため、控えめにするのが望ましいでしょう。適度な運動も、血行を促進し、自律神経のバランスを整えるのに役立ちますが、めまい発作中は無理をしないようにしましょう。これらの薬物療法と生活習慣の改善を根気強く続けることが、メニエール病と上手に付き合っていくための鍵となります。
メニエール病の治療法薬物療法と生活指導