「たかが捻挫くらい」と軽く考えて、適切な治療を受けずに放置してしまうと、様々な問題が生じる可能性があります。捻挫は、関節の靭帯が損傷するケガであり、その程度によっては、将来的に後遺症を残すこともあるため、注意が必要です。まず、痛みが慢性化するリスクがあります。捻挫によって損傷した靭帯が完全に修復されなかったり、関節の不安定性が残ってしまったりすると、日常生活のちょっとした動作でも痛みを感じやすくなったり、同じ場所を繰り返し捻挫しやすくなったりすることがあります。また、関節の可動域(動かせる範囲)が制限されてしまうこともあります。炎症が長引いたり、関節周囲の組織が硬くなったり(拘縮)すると、関節がスムーズに動かせなくなり、日常生活やスポーツに支障をきたすことがあります。特に、足首の捻挫を放置すると、足首が硬くなり、正座がしにくくなったり、階段の上り下りが辛くなったりすることがあります。さらに、関節の不安定性が残ると、将来的に「変形性関節症」を発症するリスクが高まります。変形性関節症は、関節の軟骨がすり減り、骨が変形することで、痛みや腫れ、動きの制限などが現れる病気です。足首の捻挫を繰り返していると、若い年齢でも変形性足関節症を発症することがあります。また、捻挫と同時に、気づかないうちに骨折(剥離骨折など)や軟骨損傷、腱損傷などを合併していることもあります。これらを放置すると、症状が悪化したり、治癒が遅れたりするだけでなく、手術が必要になることもあります。そして、痛みをかばって不自然な歩き方や体の使い方をしていると、膝や股関節、腰など、他の部位にも負担がかかり、新たな痛みや不調を引き起こす原因となることもあります。このように、捻挫を放置することには、様々なリスクが伴います。症状が軽いと思っても、痛みが長引く場合や、腫れが引かない、関節がグラグラするといった場合は、自己判断せずに整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
捻挫を放置するとどうなる?後遺症のリスクも