新しい環境や状況、あるいは特定のストレス要因によって、気分の落ち込みや不安感、意欲の低下、不眠、頭痛、腹痛といった心身の不調が現れ、日常生活や社会生活に支障をきたしている…。それは「適応障害」かもしれません。適応障害は、ストレスに対する反応として、情緒面や行動面に問題が生じる状態を指します。放置すると症状が悪化したり、うつ病などの他の精神疾患に移行したりする可能性もあるため、早期の対応が重要です。では、この適応障害が疑われる場合、まずどの診療科を受診すれば良いのでしょうか。最初に相談すべき診療科としては、精神科または心療内科が挙げられます。精神科医は、心の病気全般を専門としており、適応障害の診断と治療において中心的な役割を担います。問診(どのようなストレス要因があるか、いつからどのような症状が出ているか、日常生活への影響度など)を通じて、患者さんの状態を詳しく把握し、診断基準に基づいて適応障害であるかどうかを判断します。心療内科は、ストレスなど心理的な要因が体に影響を及ぼす心身症などを主に扱いますが、適応障害の診療も行っています。特に、身体症状(頭痛、腹痛、動悸、めまいなど)が強く現れている場合に適していると言えるでしょう。また、かかりつけの内科医にまず相談し、症状や状況に応じて精神科や心療内科を紹介してもらうという方法も考えられます。内科では、身体症状の原因が他の内科的疾患(例えば、甲状腺機能異常や貧血など)でないかを除外診断してくれることもあります。大切なのは、一人で抱え込まず、つらい症状が続く場合は早めに専門家の助けを求めることです。医療機関を受診することに抵抗がある場合は、まずは地域の保健センターや精神保健福祉センター、あるいは職場の相談窓口などに相談してみるのも良いでしょう。