後頭部や首の付け根の痛みは、多くの場合、筋肉の緊張や疲労によるものですが、中には注意が必要な「危険な痛み」も存在します。以下のような症状が見られる場合は、自己判断せずに速やかに医療機関を受診するようにしましょう。まず、突然発症し、これまで経験したことのないような激しい頭痛(特に後頭部痛)がある場合です。これは、くも膜下出血や脳出血といった脳血管障害のサインである可能性があります。吐き気や嘔吐、意識障害、手足の麻痺などを伴う場合は、一刻を争う緊急事態ですので、直ちに救急車を呼びましょう。次に、発熱とともに、後頭部や首筋の強い痛み、項部硬直(首が硬くて前に曲げられない状態)が見られる場合です。これは、髄膜炎や脳炎といった中枢神経系の感染症の可能性があります。頭痛や嘔吐、意識障害などが急速に進行することもあるため、早期の診断と治療が不可欠です。また、手足のしびれや麻痺、力が入らない、歩きにくい、ろれつが回らない、物が二重に見えるといった神経症状を伴う後頭部痛も注意が必要です。脳梗塞や脳腫瘍、あるいは頸椎の重篤な疾患(例えば、脊髄症など)が原因である可能性が考えられます。さらに、徐々に悪化していく頭痛や、朝方に特に強い頭痛、嘔吐を伴う頭痛なども、脳腫瘍のサインであることがあります。視力障害やけいれんなどを伴う場合も同様です。後頭部を強く打撲した後に出現した痛みや、めまい、吐き気なども、頭蓋内損傷の可能性があるため、脳神経外科の受診が必要です。その他、高血圧の既往がある方で、急激な血圧上昇とともに後頭部痛が現れた場合も、高血圧性脳症などのリスクがあるため注意が必要です。これらのサインは、あくまで一例であり、全てが当てはまらなくても、普段とは違う、何かおかしいと感じる後頭部や首の付け根の痛みであれば、早めに医師に相談することが大切です。
こんな後頭部・首の付け根の痛みは要注意!