大人が発熱した後に体に発疹が現れた場合、新型コロナウイルス感染症を心配するかもしれませんが、それ以外にも様々な原因疾患が考えられます。代表的なものをいくつかご紹介します。まず、ウイルス感染症です。「麻疹(はしか)」は、高熱、咳、鼻水、目の充血といったカタル症状の後に、顔から全身に赤い発疹が広がります。感染力が非常に強く、重症化することもあるため、予防接種が重要です。「風疹(三日ばしか)」も、発熱と同時に、あるいはやや遅れて、顔や首から全身に細かい淡紅色の発疹が広がり、耳の後ろや首のリンパ節が腫れるのが特徴です。妊娠初期の女性が感染すると、胎児に先天性風疹症候群を引き起こすリスクがあります。「突発性発疹」は、主に乳幼児の病気として知られていますが、稀に大人もかかることがあります。高熱が数日続いた後、熱が下がるのとほぼ同時に、体幹部を中心に赤い発疹が現れます。「エンテロウイルス感染症」の一部(例えば、手足口病の非典型例や、コクサッキーウイルスA群による発疹症など)でも、発熱後に手足や体幹部に発疹が出ることがあります。「伝染性単核球症(EBウイルス感染症)」では、発熱、喉の痛み、リンパ節腫脹とともに、体に赤い発疹が現れることがあります。特に、ペニシリン系の抗菌薬を服用すると、薬疹様の皮疹が出やすくなると言われています。次に、細菌感染症です。「溶連菌感染症」では、高熱や喉の痛みとともに、猩紅熱様発疹という細かい赤い点状の発疹が全身に広がることがあります。また、何らかの薬を服用した後にアレルギー反応として起こる「薬疹」も、発熱と発疹の原因となります。特定の薬を飲み始めてから数日~数週間後に、様々なタイプの発疹(麻疹様、蕁麻疹様、多形紅斑様など)が現れ、発熱を伴うことがあります。その他、膠原病(例えば、成人スティル病や全身性エリテマトーデスなど)や血管炎といった自己免疫疾患の一部として、原因不明の発熱と発疹が見られることもあります。これらのように、発熱後の発疹の原因は多岐にわたるため、自己判断せずに医療機関を受診し、正確な診断を受けることが大切です。