何らかの病気の治療のために薬を服用し始めた後、あるいは普段から服用している薬がある中で、急に下痢や湿疹の症状が現れた場合、それは「薬疹(やくしん)」や薬剤性の下痢といった、薬の副作用の可能性があります。どのような点に注意し、どのように対処すれば良いのでしょうか。薬疹とは、薬に対するアレルギー反応や中毒反応によって、皮膚に様々な症状が現れるものです。赤い斑点や丘疹、蕁麻疹、水ぶくれ、びらん、あるいは全身が赤くなる紅皮症など、その現れ方は多岐にわたります。かゆみや発熱を伴うこともあります。薬剤性の下痢も、薬の副作用として比較的よく見られる症状です。抗生物質(抗菌薬)は、腸内細菌のバランスを崩し、下痢を引き起こしやすいことで知られています。また、マグネシウム製剤(便秘薬など)や、一部の糖尿病治療薬、抗がん剤なども、下痢の原因となることがあります。もし、新しい薬を飲み始めてから数日~数週間以内に、下痢や湿疹の症状が現れた場合は、まずその薬の副作用を疑ってみる必要があります。特に、複数の薬を服用している場合は、どの薬が原因となっているのかを特定するのが難しいこともあります。チェックポイントとしては、まず、症状が出始めた時期と、薬の服用開始時期との関連性です。次に、薬の説明書(添付文書)に、副作用として下痢や発疹が記載されていないか確認してみましょう。そして、最も重要なのは、自己判断で薬の服用を中止したり、量を調整したりしないことです。必ず、その薬を処方した医師または薬剤師に速やかに相談し、指示を仰ぐようにしてください。医師は、症状の状況や薬の種類、服用期間などを考慮し、副作用の可能性が高いと判断した場合には、原因薬剤の中止や変更、あるいは症状を和らげるための薬(抗ヒスタミン薬や整腸剤、ステロイド外用薬など)の処方といった対応をとります。また、稀ではありますが、スティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死融解症といった重篤な薬疹の場合は、生命に関わる危険性もあるため、早期の発見と専門的な治療が不可欠です。薬の服用中に体調の変化を感じたら、軽視せずに医療機関に相談することが大切です。
薬剤の副作用?下痢と湿疹が出た時のチェックポイント