手足にできた「こぶ」がガングリオンかもしれないと思った時、整形外科と皮膚科、どちらを受診すれば良いのか迷うことがあるでしょう。それぞれの診療科の役割と特徴を理解し、適切な受診先を選ぶことが大切です。まず、整形外科は、骨、関節、筋肉、腱、神経といった運動器系の専門家です。ガングリオンは、関節包(関節を包む袋)や腱鞘(腱を包むトンネル)と繋がって発生することが多いため、その発生母地である運動器系の構造に詳しい整形外科が、診断と治療において中心的な役割を担います。整形外科では、触診や超音波検査、MRI検査などを用いて、ガングリオンの大きさや位置、周囲の組織との関係などを詳しく評価します。治療法としては、保存的治療(経過観察、穿刺吸引、圧迫療法など)から、手術療法(ガングリオン摘出術)まで、幅広い選択肢があります。特に、ガングリオンが神経を圧迫して痛みやしびれを引き起こしている場合や、関節の動きを妨げている場合、あるいは再発を繰り返す場合には、手術が検討されることもあります。一方、皮膚科は、皮膚やその付属器(爪、毛髪など)の病気を専門とする診療科です。ガングリオンは皮膚のすぐ下にできるため、皮膚科でも診断や、場合によっては穿刺吸引といった処置が行われることがあります。特に、こぶが非常に小さく、皮膚表面に近い場合や、他の皮膚疾患(例えば、粉瘤や脂肪腫など)との鑑別が必要な場合には、皮膚科の受診も選択肢となります。ただし、ガングリオンの根本的な発生母地が関節や腱鞘にあることを考えると、より専門的な評価や治療(特に手術など)が必要と判断された場合には、皮膚科から整形外科へ紹介されることが一般的です。どちらの科を受診するか迷う場合は、まず、こぶが関節の動きと関連しているか、神経症状(痛みやしびれ)があるかなどを考えてみましょう。これらの症状がある場合は、整形外科を受診するのがより適切と言えます。症状が軽微で、まずは診断をつけてほしいという場合は、皮膚科や、あるいはかかりつけ医に相談するのも良いでしょう。
整形外科?皮膚科?ガングリオンの受診先の選び方