扁桃腺の炎症には、急激に症状が現れる「急性扁桃炎」と、炎症が長期間続いたり、繰り返し起こったりする「慢性扁桃炎」があります。それぞれの症状の特徴と、医療機関を受診する目安について理解しておきましょう。まず、急性扁桃炎は、細菌やウイルスの感染によって、扁桃腺が急性の炎症を起こす病気です。主な症状は、突然の発熱(三十八度以上の高熱が多い)、強い喉の痛み、そして食べ物や唾を飲み込む際の激しい痛み(嚥下痛)です。喉の奥を見ると、扁桃腺が赤く腫れ上がり、白い膿(白苔)が付着していることもあります。悪寒や頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感といった全身症状を伴うことも少なくありません。急性扁桃炎が疑われる場合は、我慢せずに早めに医療機関(耳鼻咽喉科や内科など)を受診しましょう。適切な治療(抗菌薬や解熱鎮痛剤の処方など)を受けることで、症状の悪化を防ぎ、合併症(扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍など)のリスクを減らすことができます。特に、水分も摂れないほどの強い喉の痛みや、呼吸が苦しいといった症状がある場合は、緊急性が高い可能性があります。一方、慢性扁桃炎は、急性扁桃炎を年に何度も繰り返す「習慣性扁桃炎」や、常に扁桃腺に軽度の炎症がくすぶっている状態を指します。習慣性扁桃炎の場合、普段は無症状でも、疲労やストレス、風邪などをきっかけに、急性扁桃炎と同様の症状(発熱、喉の痛みなど)を年に四回以上、あるいは二年に五回以上など、頻繁に繰り返します。また、常に炎症が続いているタイプの慢性扁桃炎では、喉の違和感や乾燥感、軽い痛み、口臭、微熱、倦怠感といった症状が持続することがあります。慢性扁桃炎で、日常生活に支障が出ている場合や、扁桃が原因で他の臓器に影響が出る病巣感染症(IgA腎症や掌蹠膿疱症など)が疑われる場合には、耳鼻咽喉科での専門的な治療(扁桃摘出術など)が検討されることもあります。扁桃炎を繰り返す、あるいは喉の不調が長く続く場合は、一度耳鼻咽喉科を受診し、相談してみることをお勧めします。
急性扁桃炎と慢性扁桃炎症状と受診の目安