下痢と湿疹。一見すると関連性のないように思えるこれらの症状が、大人になって同時に現れた場合、一体何が原因で、どの診療科を受診すれば良いのか不安になることでしょう。下痢と湿疹が同時に起こる原因は様々で、消化器系の問題が皮膚に影響を及ぼしている場合もあれば、全身性の疾患の一部として両方の症状が現れている可能性も考えられます。最初に相談すべき診療科としては、まず内科やかかりつけ医が挙げられます。内科医は、全身の状態を把握し、下痢の原因(感染性か非感染性か、急性か慢性かなど)と、湿疹の性質や分布を評価し、初期診断を行います。必要に応じて、血液検査や便検査、アレルギー検査などを行い、原因の特定を進めます。もし、湿疹の症状が特に強い場合や、診断が難しい皮膚疾患が疑われる場合は、皮膚科への受診が勧められます。皮膚科医は、湿疹の種類(例えば、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、蕁麻疹、自家感作性皮膚炎など)を専門的に診断し、適切な外用薬(ステロイド軟膏やかゆみ止めなど)や内服薬を処方してくれます。また、下痢の原因が食物アレルギーや、特定の食品に対する不耐性(例えば、乳糖不耐症など)であると考えられる場合は、アレルギー科や消化器内科での専門的な検査や食事指導が必要になることもあります。稀ではありますが、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)や、セリアック病といった自己免疫性の消化器疾患が、下痢とともに皮膚症状(結節性紅斑や壊疽性膿皮症、疱疹状皮膚炎など)を引き起こすこともあります。これらの場合は、消化器内科での専門的な治療が不可欠です。ストレスや自律神経の乱れが、過敏性腸症候群による下痢と、ストレス性の湿疹を同時に引き起こしている可能性も考慮されます。この場合は、心療内科との連携が必要になることもあります。自己判断せずに、まずは内科か皮膚科を受診し、症状を詳しく伝え、医師の指示を仰ぐようにしましょう。