神経痛と一言で言っても、その原因や痛む場所、痛みの性質によって様々な種類があります。代表的な神経痛の種類とその特徴を理解しておくことは、自分の症状を把握し、適切な医療機関を受診する上で役立ちます。まず、最もよく知られているのが「坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)」です。これは、腰からお尻、太ももの裏側、ふくらはぎ、足先にかけて伸びる坐骨神経が、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、梨状筋症候群などによって圧迫されたり刺激されたりすることで起こります。お尻から足にかけて、しびれや鋭い痛み、灼熱感などが現れ、長時間座っていたり、立っていたりすると悪化することがあります。次に、「肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)」です。これは、肋骨に沿って走る肋間神経が、帯状疱疹後神経痛や、胸椎の変形、肋骨骨折、あるいは内臓疾患などが原因で刺激されて起こります。胸や背中、脇腹などに、片側にズキンとしたり、ピリピリとしたりする電気が走るような痛みが、深呼吸や咳、体の動きによって誘発されることがあります。また、「三叉神経痛(さんさしんけいつう)」は、顔の感覚を司る三叉神経が、主に血管によって圧迫されることで起こると考えられています。顔の片側に、洗顔や歯磨き、食事、会話といった日常的な刺激で、数秒から数十秒の激しい電撃様の痛みが繰り返し起こるのが特徴です。そして、「帯状疱疹後神経痛(たいじょうほうしんごしんけいつう)」は、帯状疱疹(水痘・帯状疱疹ウイルスによる皮膚の病気)が治った後も、その部位に持続的な痛みやしびれが残ってしまう状態です。焼けつくような、あるいは刺すような痛みが特徴で、衣服が触れるだけでも痛みを感じる(アロディニア)こともあります。その他にも、「頸椎症性神経根症」や「手根管症候群」、「肘部管症候群」、「胸郭出口症候群」など、特定の神経が圧迫されて起こる神経痛や、糖尿病性神経障害のような全身性疾患に伴う神経痛など、様々な種類があります。