子どもは活発に動き回るため、捻挫をすることは珍しくありません。しかし、子どもの骨や靭帯は、大人とは異なる特徴があるため、捻挫への対応にもいくつかの注意点があります。保護者の方が気をつけるべきことを理解しておきましょう。まず、子どもは自分の症状をうまく言葉で表現できないことがあります。「痛い」とは言っても、どの程度の痛みなのか、どこがどのように痛むのかを具体的に伝えるのが難しい場合があります。そのため、ケガをした時の状況や、その後の子どもの様子(歩き方、関節の動かし方、腫れや内出血の有無など)を注意深く観察することが重要です。また、子どもの骨は、大人に比べて柔らかく、成長過程にあるため、骨端線(成長軟骨板)という骨が成長する部分を損傷しやすいという特徴があります。捻挫だと思っていたら、実はこの骨端線損傷や、若木骨折(骨が完全に折れずに、しなるように曲がる骨折)といった骨のケガであることも少なくありません。これらの骨のケガは、レントゲン検査でも診断が難しい場合があり、放置すると成長障害に繋がる可能性もあるため、専門医の診察が不可欠です。特に、関節の変形が見られる、強い痛みが続く、体重を全くかけられないといった場合は、骨折の疑いが強いため、速やかに整形外科を受診しましょう。応急処置としては、大人と同様にRICE療法(安静、冷却、圧迫、挙上)が基本となります。しかし、冷却のしすぎや、圧迫のしすぎは、子どもの場合は特に注意が必要です。皮膚が薄く、凍傷を起こしやすかったり、血行が悪くなりやすかったりするため、様子を見ながら慎重に行いましょう。そして、たとえ軽い捻挫に見えても、痛みが数日経っても引かない、腫れが悪化する、あるいは何度も同じ場所を捻挫するといった場合は、自己判断せずに整形外科を受診することが大切です。適切な診断と治療を受けることが、子どもの健やかな成長と、将来の運動機能の維持に繋がります。