手や足にできたガングリオン。見た目が気になったり、何となく邪魔だったりすると、「自分で潰してしまえば治るのではないか」と考える方もいるかもしれません。しかし、ガングリオンを自分で潰すことは、いくつかのリスクが伴うため、基本的にはお勧めできません。まず、ガングリオンの内容物は、関節液や滑液といった体液が濃縮されたゼリー状のものであり、無菌状態です。しかし、自分で針を刺したり、無理に圧迫して潰したりすると、皮膚に傷がつき、そこから細菌が侵入して感染を起こしてしまう可能性があります。感染すると、患部が赤く腫れ上がり、強い痛みや熱感を伴い、化膿してしまうことがあります。場合によっては、抗菌薬の投与や、切開して膿を出す処置が必要になることもあります。また、ガングリオンは、関節包や腱鞘と細い茎で繋がっています。自分で潰した場合、一時的にこぶが小さくなったり、消えたりするように見えるかもしれませんが、ガングリオンの袋そのものや、発生母地との繋がりが残っているため、高い確率で再発します。むしろ、無理な圧迫によって周囲の組織を傷つけたり、炎症を悪化させたりする可能性も否定できません。さらに、自分で潰そうとすることで、ガングリオンが破裂し、内容物が周囲の組織に漏れ出て、炎症反応を引き起こすこともあります。これは、痛みを増強させたり、治癒を遅らせたりする原因となることがあります。そして、最も重要なのは、その「こぶ」が本当にガングリオンであるかどうかは、専門医の診察を受けなければ確実には分からないという点です。稀ではありますが、ガングリオンと似たような見た目の悪性腫瘍(がん)である可能性もゼロではありません。自己判断で潰してしまうと、正確な診断の機会を失ってしまうことにもなりかねません。もし、ガングリオンと思われるこぶが気になる場合は、自己判断で処置をせず、必ず整形外科や皮膚科などの医療機関を受診し、医師の診察と指示を仰ぐようにしましょう。