手掌多汗症の症状を少しでも和らげ、日常生活をより快適に過ごすためには、医療機関での治療と並行して、自分自身でできるセルフケアや生活上の工夫も大切です。まず、精神的な緊張やストレスが発汗を誘発する大きな要因となるため、ストレスを上手にコントロールすることが重要です。深呼吸や瞑想、ヨガ、漸進的筋弛緩法といったリラクセーション法を取り入れたり、趣味の時間を持つ、十分な睡眠をとるなどして、心身の緊張を和らげるように心がけましょう。また、汗をかくことに対する過度な不安や恐怖感が、さらに発汗を悪化させるという悪循環に陥りやすいため、「汗をかいても大丈夫」「完璧に汗を止めなくても良い」と、ある程度受け入れる気持ちを持つことも大切です。次に、日常生活での工夫としては、こまめに手を拭くことが基本です。清潔なハンカチやタオルを常に携帯し、汗をかいたらすぐに拭き取るようにしましょう。制汗パウダーやベビーパウダーなどを手のひらに軽くはたいておくと、サラサラ感を保つのに役立つことがあります。また、通気性の良い手袋(例えば、綿素材の薄手の手袋など)を、状況に応じて使用するのも一つの方法です。特に、書類を扱ったり、物を握ったりする際に、汗による滑りや汚れを防ぐのに役立ちます。ただし、手袋が蒸れてかえって汗をかきやすくなる場合もあるため、素材選びや使用時間には注意が必要です。食事に関しては、香辛料の多い刺激物や、カフェインを多く含むコーヒーや紅茶などは、交感神経を刺激し、発汗を促す可能性があるため、摂りすぎに注意しましょう。逆に、体を冷やす作用のある食べ物(例えば、夏野菜など)を適度に取り入れるのも良いかもしれません。また、手汗が気になるあまり、水分摂取を極端に控えるのは避けましょう。脱水症状は他の健康問題を引き起こす可能性があります。こまめに、適量の水分を摂るように心がけましょう。これらのセルフケアや工夫は、すぐに劇的な効果が現れるわけではありませんが、根気強く続けることで、症状の軽減や精神的な負担の軽減に繋がる可能性があります。
手掌多汗症のセルフケアと日常生活の工夫