後頭部や首の付け根の痛みは、その原因によって受診すべき診療科が異なります。代表的な原因別に、どの科が適しているのかを見ていきましょう。まず、最も多い原因の一つが、筋肉の緊張やこり、いわゆる「肩こり」「首こり」です。長時間のデスクワークやスマートフォンの使用、猫背などの不良姿勢、運動不足、ストレスなどが原因で、首から肩、背中にかけての筋肉が硬直し、血行が悪くなることで、後頭部や首の付け根に重だるい痛みや圧迫感が生じます。この場合は、整形外科が主な相談先となります。理学療法(温熱療法、電気刺激療法、マッサージなど)や運動療法(ストレッチなど)、薬物療法(筋弛緩薬や消炎鎮痛剤など)が行われます。また、鍼灸院や整体院なども、筋肉の緊張緩和を目的とした施術を提供している場合がありますが、まずは整形外科で器質的な問題がないかを確認することが大切です。次に、「頸椎症(けいついしょう)」や「頸椎椎間板ヘルニア」といった首の骨や椎間板の異常が原因で、神経が圧迫されて痛みが生じることもあります。この場合も、整形外科が専門です。首の痛みやこりに加え、腕や手にかけてのしびれや痛み、筋力低下などを伴うことがあります。レントゲン検査やMRI検査で診断し、薬物療法、装具療法(頸椎カラーなど)、リハビリテーション、場合によっては手術療法が検討されます。「後頭神経痛(こうとうしんけいつう)」は、後頭部を走る神経(大後頭神経など)が刺激されることで、後頭部から頭頂部、耳の後ろにかけて、ズキンとしたり、ピリピリとしたりする電気が走るような痛みが突発的に現れるものです。この場合は、神経内科またはペインクリニックが専門となります。薬物療法や神経ブロック注射などが行われます。また、「緊張型頭痛」も、後頭部や首の付け根に締め付けられるような鈍い痛みを引き起こすことがあります。これは、精神的なストレスや身体的なストレスが原因で起こることが多く、神経内科や頭痛外来、心療内科などが相談先となります。その他、高血圧や脳血管障害、髄膜炎、脳腫瘍といった重篤な疾患が、後頭部痛の原因となることも稀にあります。これらの場合は、神経内科や脳神経外科での緊急の対応が必要です。