唇やその周りに、ピリピリとした違和感やかゆみを感じた後、小さな水ぶくれ(水疱)ができて痛む…。これは「口唇ヘルペス」の典型的な症状かもしれません。口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)というウイルスに感染することで発症する、再発しやすい皮膚の病気です。放置すると症状が悪化したり、他の人にうつしてしまったりする可能性もあるため、早期の診断と適切な治療が重要です。では、この口唇ヘルペスが疑われる場合、まずどの診療科を受診すれば良いのでしょうか。最初に相談すべき診療科としては、皮膚科が挙げられます。皮膚科医は、皮膚や粘膜の病気全般を専門としており、口唇ヘルペスの診断と治療において中心的な役割を担います。問診(いつから、どのような症状があるか、過去に同様の症状があったか、誘因となるものはないかなど)や視診(患部の状態、水疱やびらんの有無など)を行い、口唇ヘルペスであるかどうかを判断します。多くの場合、臨床症状から診断がつきますが、必要に応じて、水疱の内容物やびらん面から検体を採取し、ウイルス検査(抗原検査やPCR検査など)を行うこともあります。治療としては、主に抗ウイルス薬の塗り薬(外用薬)や飲み薬(内服薬)が用いられます。症状が軽度であれば塗り薬のみで対応することもありますが、症状が広範囲であったり、再発を繰り返したりする場合には、飲み薬が処方されることが多いです。また、内科やかかりつけ医にまず相談し、症状に応じて皮膚科を紹介してもらうという方法も良いでしょう。特に、発熱や全身倦怠感など、全身症状を伴う場合は、内科的な視点からの診察も重要になることがあります。歯科や口腔外科でも、口唇ヘルペスの症状(特に口の中にできた場合など)に対応してくれる場合がありますが、皮膚症状が主である場合は、やはり皮膚科が最も専門的と言えます。自己判断で市販薬を使用したり、水疱を潰したりせず、まずは専門医の診察を受けるようにしましょう。