足の親指の付け根などが急に赤く腫れて激しく痛むと、まず痛風を疑う方が多いでしょう。しかし、似たような関節炎の症状を引き起こす病気は他にもあり、正確な診断のためにはこれらの疾患との鑑別が重要になります。痛風と間違えやすい代表的な関節の病気をいくつかご紹介します。まず、「偽痛風(ぎつうふう)」です。これは、関節内にピロリン酸カルシウムという別の種類の結晶が沈着することで、痛風発作と非常によく似た急性の関節炎を引き起こす病気です。膝関節や手首、足首など、比較的大きな関節に起こりやすいとされていますが、足の親指の付け根に起こることもあります。高齢者に多く見られ、発熱を伴うこともあります。診断は、関節液を採取し、顕微鏡でピロリン酸カルシウム結晶を確認することで確定します。次に、「化膿性関節炎(かのうせいかんせつえん)」です。これは、細菌が関節内に侵入し、感染・炎症を起こす病気で、急激な関節の腫れ、赤み、熱感、激しい痛み、そして高熱や悪寒といった全身症状を伴うことが特徴です。放置すると関節が破壊されてしまう危険性があるため、緊急の治療(抗菌薬の投与や、場合によっては関節内の洗浄など)が必要です。また、「関節リウマチ」も、手の指や足の指、手首、膝などの関節に炎症が起こり、腫れや痛み、朝方のこわばりなどが現れる自己免疫疾患です。痛風のように単一の関節に急激な激痛が起こるというよりは、複数の関節に左右対称に症状が出やすく、慢性的に進行することが多いのが特徴です。血液検査でリウマチ因子や抗CCP抗体などが陽性となることがあります。その他、「変形性関節症」は、加齢や使いすぎによって関節の軟骨がすり減り、炎症や変形が生じる病気で、特に膝関節や股関節、手の指の関節などに起こりやすいです。運動開始時の痛みや、安静後のこわばりなどが見られます。「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」は、皮膚の細菌感染症ですが、関節周囲の皮膚に起こると、関節炎と似たような腫れや赤み、熱感、痛みを引き起こすことがあります。これらの病気は、それぞれ治療法が異なります。自己判断せずに、必ず医療機関(内科、リウマチ科、整形外科など)を受診し、専門医による正確な診断と適切な治療を受けるようにしましょう。
痛風と間違えやすい他の関節の病気