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適応障害診断までの流れと検査内容
適応障害が疑われる場合、医療機関ではどのような流れで診断が行われ、どのような検査が必要になるのでしょうか。そのプロセスを理解しておくと、安心して受診できるでしょう。まず、医療機関(主に精神科や心療内科など)を受診すると、医師による詳しい問診が行われます。これが適応障害の診断において最も重要なステップとなります。医師は、以下の点について詳しく聞き取ります。どのようなストレス要因(例えば、職場環境の変化、人間関係のトラブル、家庭内の問題、学業上の困難など)があるか。いつ頃から、どのような症状(気分の落ち込み、不安感、イライラ、不眠、食欲不振、頭痛、腹痛、集中力の低下、涙もろさ、引きこもりなど)が現れているか。症状の程度や頻度、持続期間。症状によって、日常生活や社会生活(仕事、学業、家事など)にどの程度の支障が出ているか。これまでの病歴や精神科受診歴、家族歴、生活習慣(睡眠、食事、運動、飲酒、喫煙など)など。これらの情報を総合的に評価し、国際的な診断基準(例えば、DSM-5やICD-10など)に基づいて、適応障害の診断を行います。適応障害の診断基準のポイントは、①明確なストレス要因の存在、②ストレス要因の始まりから一定期間内(通常3ヶ月以内)に症状が出現すること、③症状がストレス要因の程度や内容から予測される範囲を超えて著しい苦痛や機能障害を引き起こしていること、④他の精神疾患(うつ病や不安障害など)の診断基準を満たさないこと、などです。特別な血液検査や画像検査で適応障害を直接診断することはできません。ただし、身体症状(頭痛、腹痛、倦怠感など)の原因が、他の身体疾患(例えば、甲状腺機能異常や貧血、内臓疾患など)でないかを確認するために、必要に応じて血液検査や尿検査、心電図検査、あるいは他の専門科への紹介が行われることがあります。また、心理検査(質問紙法や投影法など)が、患者さんの性格傾向やストレス対処能力、抑うつや不安の程度などを客観的に評価するために、補助的に用いられることもあります。