腱鞘炎の疑いで医療機関を受診する際、医師に自分の症状を的確に伝えることは、正確な診断と適切な治療を受けるために非常に重要です。しかし、いざ診察室に入ると緊張してしまったり、何を伝えれば良いのか分からなくなってしまったりすることもあるでしょう。事前に伝えるべきポイントを整理し、準備をしておくことで、スムーズなコミュニケーションに繋がります。まず、最も重要なのは「いつから、どのようなきっかけで痛むようになったのか」です。例えば、「一週間前から徐々に痛みが強くなってきた」「昨日、重い荷物を持った後から急に痛くなった」「特に思い当たるきっかけはないが、数ヶ月前から違和感があった」など、具体的な情報を伝えましょう。次に、「どの部位が、どのように痛むのか」を詳しく説明します。手首のどのあたり(親指側、小指側、手のひら側、手の甲側など)、指のどの関節、あるいはどの指の付け根が痛むのか、指で示せるとなお良いでしょう。痛みの性質も重要です。「ズキズキする」「ジンジンする」「動かすとピリッと痛む」「安静にしていても痛い」「熱感がある」など、できるだけ具体的に表現しましょう。また、「痛みの強さ」を伝える際には、全く痛くない状態を0、想像しうる最大の痛みを10とした場合に、現在の痛みがどの程度かを数字で表現するのも有効です(ペインスケール)。さらに、「どのような時に痛みが強くなり、どのような時に和らぐのか」も大切な情報です。例えば、「物をつかむと痛い」「手首を捻ると激痛が走る」「朝起きた時が一番痛くて動かしにくいが、使っているうちに少し楽になる」「安静にしていると痛みはない」など、具体的な状況を伝えましょう。そして、「日常生活や仕事、趣味などで、手や指をよく使う作業があるか」も重要な情報です。パソコン作業の頻度、スマートフォンの使い方、楽器の演奏、スポーツ、育児、手仕事など、具体的な内容を伝えましょう。過去に同様の症状があったか、他の関節に痛みや腫れがないか、既往歴、服用中の薬(市販薬やサプリメントも含む)、利き手なども、医師にとっては重要な情報です。これらの情報をメモにまとめて持参すると、伝え忘れを防ぐことができます。