扁桃腺の腫れや痛みが疑われる場合、医療機関ではどのような流れで診断が行われ、どのような検査が必要になるのでしょうか。そのプロセスを理解しておくと、安心して受診できるでしょう。まず、医療機関(主に耳鼻咽喉科や内科など)を受診すると、医師による詳しい問診が行われます。いつから、どのような症状(喉の痛み、飲み込みにくさ、発熱、全身倦怠感、関節痛など)があるのか、症状の程度や経過、過去に同様の症状があったか、アレルギー歴、既往歴、服用中の薬などを詳しく聞かれます。この問診は、診断の手がかりを得るために非常に重要です。次に、身体診察が行われます。医師は、まず全身状態(体温、脈拍、血圧など)を確認し、次に喉の奥を観察します。ペンライトや舌圧子(舌を押さえる器具)を使って、扁桃腺の赤みや腫れの程度、膿(白苔)が付着していないか、口蓋垂(のどちんこ)や周囲の粘膜の状態などを注意深く診ます。また、首のリンパ節が腫れていないか、圧痛がないかなども触診で確認します。これらの問診と診察所見から、急性扁桃炎などの診断が下されることが多いですが、原因となっている病原体を特定するためや、他の疾患との鑑別、あるいは重症度の評価のために、いくつかの検査が行われることがあります。代表的な検査としては、「細菌迅速検査」があります。これは、喉の奥を綿棒でこすって検体を採取し、数分から十数分程度で、A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)などの特定の細菌の有無を調べる検査です。溶連菌感染症が疑われる場合に特に有効です。また、必要に応じて「細菌培養検査」も行われます。これは、採取した検体を培養し、原因となっている細菌の種類を特定したり、その細菌に効果のある抗菌薬を調べたりする検査です。結果が出るまでに数日かかります。血液検査も、炎症反応(白血球数やCRPなど)の程度や、他の感染症(例えば、伝染性単核球症など)の可能性を調べるために行われることがあります。これらの検査結果と、問診や診察所見を総合的に判断し、医師は最終的な診断を下し、適切な治療方針を決定します。
扁桃腺の腫れ診断までの流れと検査内容