扁桃腺が腫れて痛む時、耳鼻咽喉科と内科、どちらを受診すれば良いのか迷うことがあるかもしれません。それぞれの診療科の役割と特徴を理解し、自分の症状や状況に合わせて選ぶことが大切です。まず、耳鼻咽喉科は、耳、鼻、喉(咽頭・喉頭)の病気を専門とする診療科です。扁桃腺は喉の一部であるため、扁桃腺の炎症(扁桃炎)や、それに伴う様々な症状(喉の痛み、飲み込みにくさ、発熱、耳の痛みなど)の診断と治療において、耳鼻咽喉科が最も専門的な知識と経験を持っています。耳鼻咽喉科では、専用の器具(喉頭鏡やファイバースコープなど)を用いて、扁桃腺の状態を直接的かつ詳細に観察することができます。扁桃腺の赤みや腫れの程度、膿(白苔)の付着具合、周囲への炎症の広がりなどを正確に把握し、重症度を判断します。また、必要に応じて、細菌検査(迅速検査や培養検査)を行い、原因菌を特定し、より効果的な抗菌薬を選択することができます。扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍といった、扁桃炎が進行して重症化した状態に対する処置(穿刺排膿など)も、耳鼻咽喉科の専門領域です。一方、内科は、体の内部の病気全般を幅広く診療する科です。扁桃腺の腫れや痛み、発熱といった症状は、風邪やインフルエンザといった全身性の感染症の一症状として現れることも多いため、内科でも扁桃炎の基本的な診察と治療(抗菌薬や解熱鎮痛剤の処方など)は可能です。特に、全身倦怠感や関節痛、筋肉痛といった全身症状が強い場合や、まずはかかりつけの内科医に相談したいという場合には、内科を受診するのも良いでしょう。内科医は、全身状態を評価し、必要であれば耳鼻咽喉科などの専門科へ紹介してくれます。どちらの科を受診するか迷う場合は、喉の症状が特に強い、あるいは扁桃炎を繰り返しているといった場合は耳鼻咽喉科、全身症状が中心であったり、かかりつけ医に相談したい場合は内科、という大まかな目安があります。