妊娠中に口内炎ができてつらい時、産婦人科のかかりつけ医に相談するのが一般的ですが、実は歯科医院(歯医者さん)や口腔外科も、口内炎の相談ができる頼りになる存在です。特に、口内炎の症状が口の中に限定されている場合や、歯や歯茎の状態も気になる場合には、歯科での相談が有効なことがあります。歯科医師は、口腔内の粘膜の病気についても専門的な知識を持っており、口内炎の原因を特定し、適切な治療法を提案してくれます。例えば、口内炎が歯の鋭縁(とがった部分)や、不適合な詰め物・被せ物、あるいは矯正装置などによる物理的な刺激でできている場合、歯科医師はその原因を除去したり、調整したりすることで、口内炎の治癒を促すことができます。また、歯周病や虫歯などが原因で口腔内の衛生状態が悪化し、それが口内炎の誘因となっている場合には、歯のクリーニングや歯周病治療、虫歯治療などを行うことで、口腔内環境を改善し、口内炎の再発を予防することにも繋がります。治療としては、口内炎の炎症を抑え、痛みを和らげるための塗り薬(ステロイド軟膏など)や貼り薬、あるいはレーザー治療などが行われることがあります。レーザー治療は、痛みが少なく、治癒を早める効果が期待できると言われています。妊娠中でも使用可能な薬剤の選択や、治療法の安全性についても、歯科医師は産婦人科医と連携を取りながら、慎重に判断してくれます。特に、口腔外科を専門とする歯科医師は、より専門的な口腔粘膜疾患の診断や治療、あるいは他の全身疾患との関連が疑われる場合の鑑別診断などにも対応しています。妊娠中は、ホルモンバランスの変化などから歯肉炎にもなりやすいため、口内炎だけでなく、歯茎の腫れや出血といった症状がある場合も、早めに歯科を受診することをお勧めします。自己判断で市販薬を使用したり、我慢したりせず、まずはかかりつけの産婦人科医に相談し、必要であれば歯科や口腔外科を紹介してもらうのが良いでしょう。