ロタウイルス感染症は、突然症状が現れることが多いですが、その初期のサインを見逃さずに早期に対応することが、重症化を防ぐためには重要です。特に乳幼児の場合、症状の進行が早いこともあるため、普段からの注意深い観察が求められます。ロタウイルスの初期症状として最も多く見られるのは、突然の嘔吐です。何の予兆もなく、噴水のように勢いよく吐いたり、飲んだミルクや母乳、食事をそのまま吐き戻したりすることがあります。嘔吐は一度だけでなく、何度も繰り返すのが特徴です。嘔吐とほぼ同時か、少し遅れて下痢が始まることも初期症状の一つです。最初は普通の便でも、徐々に水っぽくなり、回数も増えていきます。便の色が白っぽくなるのはロタウイルスの特徴的なサインですが、初期から白色便になるとは限りません。また、発熱も初期から見られることがあります。急に三十八度以上の高熱が出たり、微熱から徐々に熱が上がってきたりすることもあります。これらの消化器症状や発熱に伴い、赤ちゃんや小さな子どもは、機嫌が悪くなったり、ぐずったり、ぐったりして元気がなくなったりすることがあります。食欲も低下し、ミルクや食事をあまり欲しがらなくなることも、初期の重要なサインです。普段と比べて、おしっこの回数や量が減っている、口の中や唇が乾燥しているといった場合は、脱水症状が始まっている可能性も考えられます。これらの初期症状は、他のウイルス性胃腸炎(例えば、ノロウイルスなど)や、一般的な風邪の症状と似ていることもあります。しかし、ロタウイルスの場合は、嘔吐や下痢が特に激しく、白色便が見られるといった特徴があるため、これらのサインに気づいたら、「たかが風邪だろう」と自己判断せずに、早めに小児科を受診することが大切です。医師は、症状の経過や周囲の流行状況などを総合的に判断し、適切な診断と対処法を指導してくれます。