手足口病の発疹は、通常、かゆみはあっても強い痛みを伴うことは少ないとされていますが、中には水疱が大きくなったり、破れたりして、ヒリヒリとした痛みを感じるお子さんもいます。また、口の中にできた水疱や口内炎は、食事や水分摂取が困難になるほどの強い痛みを伴うことがよくあります。このような痛みを伴う場合、お風呂はどうすれば良いのでしょうか。まず、口の中の痛みが非常に強く、機嫌が極度に悪い、あるいはぐったりしているといった場合は、無理に入浴させる必要はありません。体力の消耗を避け、安静を保つことが優先です。体を清潔にするには、お湯で濡らしたタオルで優しく拭いてあげる程度で十分でしょう。手足の発疹に痛みがある場合、お風呂のお湯の温度や洗い方に注意が必要です。熱いお湯は、炎症を悪化させたり、痛みを増強させたりする可能性があるため、ぬるめのお湯(38~39℃程度)が良いでしょう。また、石鹸の成分がしみて痛むこともあるため、低刺激性の石鹸を選び、よく泡立てて、できるだけ発疹に直接触れないように、泡で包み込むように優しく洗います。ゴシゴシこするのは絶対に避けましょう。シャワーで洗い流す際も、水圧を弱めにし、そっとかけ流すようにします。もし、水疱が破れてびらん(ただれた状態)になっている部分があり、そこがお湯や石鹸でしみて痛がるようであれば、その部分だけは無理に洗わず、周囲を清潔にする程度に留めても良いかもしれません。入浴後は、清潔で柔らかいタオルで、こすらずに優しく押さえるように水分を拭き取ります。痛みがある場合は、医師から鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)が処方されていることもあるので、入浴前に服用させて痛みを和らげておくのも一つの方法です。ただし、薬の使用については必ず医師の指示に従ってください。最も大切なのは、子どもの様子をよく観察し、無理強いしないことです。痛みが強い時は、入浴を短時間で済ませるか、あるいは清拭に切り替えるなど、柔軟に対応しましょう。