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手掌多汗症診断までの流れと検査内容
手掌多汗症が疑われる場合、医療機関ではどのような流れで診断が行われ、どのような検査が必要になるのでしょうか。そのプロセスを理解しておくと、安心して受診できるでしょう。まず、医療機関(主に皮膚科など)を受診すると、医師による詳しい問診が行われます。いつから手のひらの汗が気になるようになったか、どのような時に汗をかくか(例えば、緊張時、暑い時、何もしていなくてもなど)、汗の量(例えば、手が濡れる程度、滴り落ちる程度など)、日常生活への支障の程度(例えば、書類が濡れる、握手ができない、物が滑って持ちにくいなど)、これまでの治療歴、家族歴、他の部位の多汗の有無、他に気になる症状はないかなどを詳しく聞かれます。この問診は、診断の手がかりを得るために非常に重要です。次に、視診と触診です。医師は、手のひらの状態(汗の量、皮膚の湿り具合、赤みや湿疹の有無など)を目で見て、手で触って確認します。そして、手掌多汗症の診断を客観的に評価するために、いくつかの検査が行われることがあります。代表的な検査の一つが、「発汗テスト」です。ヨードデンプン反応(ミノール法)は、手のひらにヨード溶液を塗り、その上にデンプン粉を振りかけると、汗をかいている部分が黒紫色に変色するというもので、発汗部位や範囲を視覚的に確認できます。また、重量計測法といって、一定時間、吸水性の紙を手のひらに当てて、その重さの変化から発汗量を測定する方法もあります。これらの検査は、多汗症の重症度を評価する上でも役立ちます。また、手掌多汗症の診断においては、他の疾患(例えば、甲状腺機能亢進症や褐色細胞腫、糖尿病、薬剤の副作用など)が原因で二次的に多汗が起きている可能性を除外することも重要です。そのため、必要に応じて、血液検査(甲状腺ホルモン値や血糖値など)や尿検査などが行われることもあります。これらの問診、診察、検査結果を総合的に判断し、医師は手掌多汗症の診断を下し、その重症度を評価して、適切な治療方針を決定します。