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ストレスが原因?下痢と湿疹の意外な関係
「最近ストレスが多くて、下痢もするし、肌も荒れて湿疹が…」そんな経験はありませんか。実は、精神的なストレスは、私たちの消化器系と皮膚の両方に大きな影響を与え、下痢と湿疹という二つの症状を同時に引き起こすことがあります。ストレスが下痢を引き起こすメカニズムとしては、まず自律神経の乱れが挙げられます。強いストレスや慢性的なストレスは、自律神経のうち交感神経を優位にし、腸の蠕動運動を過剰に亢進させたり、逆に抑制したりして、下痢や便秘、腹痛といった症状を引き起こします。代表的なものに「過敏性腸症候群(IBS)」があり、ストレスがかかると下痢や便秘を繰り返すのが特徴です。また、ストレスは腸内環境にも影響を与え、善玉菌と悪玉菌のバランスを崩し、腸のバリア機能を低下させる可能性があります。これにより、腸管の炎症が起こりやすくなったり、普段なら問題にならないような刺激にも過敏に反応したりして、下痢に繋がることがあります。一方、ストレスが湿疹を引き起こすメカニズムも複雑ですが、同様に自律神経の乱れや免疫機能の低下、ホルモンバランスの変化などが関与していると考えられています。ストレスによって皮膚のバリア機能が低下すると、外部からの刺激(乾燥、アレルゲン、細菌など)を受けやすくなり、湿疹やかゆみ、赤みといった症状が現れやすくなります。また、ストレスは、アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎、蕁麻疹といった既存の皮膚疾患を悪化させる要因となることも知られています。特に、かゆみはストレスによって増強される傾向があり、掻き壊してしまうことでさらに湿疹が悪化するという悪循環に陥りやすいです。このように、ストレスは、消化器系と皮膚の両方に作用し、下痢と湿疹という形でSOSサインを発することがあります。もし、これらの症状がストレスを感じている時期に現れたり、悪化したりするようであれば、内科や皮膚科での対症療法と並行して、心療内科での相談や、ストレスマネジメント(十分な睡眠、リラクセーション、適度な運動など)に取り組むことが、根本的な改善に繋がる可能性があります。